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東京地方裁判所 昭和50年(特わ)1651号 判決 1975年10月24日

本店所在地

東京都豊島区東池袋一丁目一一番四号

三和開発株式会社

(右代表者代表取締役山中信男)

本籍

東京都墨田区菊川三丁目一六番地

住居

埼玉県富士見市関沢二丁目一八番二〇号

会社役員

山中信男

昭和一三年九月五日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官清水勇男、弁護人犀川季久出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人三和開発株式会社を罰金一、五〇〇万円に、

被告人山中信男を懲役一〇月に各処する。

被告人山中信男に対し、この裁判の確定の日から

二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、東京都豊島区東池袋一丁目一一番四号(昭和四七年七月二七日以前は同都板橋区成増三丁目一番一二号)に本店を、同都新宿区西新宿一丁目一八番二号及び茨城県猿島群三和町上和田一一〇番地に営業所をそれぞれ置き、士地の造成及び分譲販売等を営業目的とする資本金八、〇〇〇万円の株式会社であり、被告人は被告会社の代表取締役として(昭和四七年八月一五日までは取締役であつたが、右時期には代表取締役山中盛正に代わつて)同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部除外及び架空造成費等の計上などの方法で所得を秘匿したうえ、

第一  昭和四六年九月一日から同四七年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二、九八五万七、六八四円であつたのにかかわらず、同四七年一〇月三一日東京都豊島区西池袋三丁目三三番二二号所在の所轄豊島税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五五三万四、九七七円で、これに対する法人税額が一七七万一、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一、〇七〇万九、九〇〇円と右申告税額との差額八九三万八、七〇〇円を免れ(修正損益計算書および税額計算書は別紙(一)(三)のとおり)

第二  昭和四七年九月一日から同四八年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億八、九八六万三、九六六円あつたのにかかわらず、同四八年一〇月三一日、前記豊島税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二、四三四万七、〇一九円でこれに対する法人税額が七一六万〇、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額七、〇〇五万八、一〇〇円と右申告税額との差額六、二八九万七、八〇〇円を免れ(修正損益計算書および税額計算書は別紙(二)(三)のとおり)たものである。

(証拠の標目)

一、検察官米澤慶治、弁護人犀川季久、被告人(被告法人代表取締役)作成の合意書面

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、押収してある法人税確定申告書二通(当庁昭和五〇年押第一五七三号の一、二)

一、登記官作成の昭和五〇年三月二〇日付登記簿謄本

(法令の適用)

被告法人三和開発株式会社(以下被告会社という)の判示第一、第二の所為はいずれも法人税法一六四条一項、一五九条に、被告人山中信男の判示第一、第二の所為はいずれも同法一五九条に各該当するところ、所定刑中被告人山中信男について、懲役刑を選択し、被告会社、被告人山中信男の判示第一、第二の罪はいずれも刑法四五条前段の併合罪であるから被告会社につき同法四八条二項を適用して、所定の罰金額を合算した範囲内で、被告人山中信男につき、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告会社を罰金一、五〇〇万円に、被告人山中信男を懲役一〇月に各処し、なお被告人山中信男は本件摘発後被告会社の経理体制の改善をはかり、修正申告をした法人税額を完納するべく鋭意努力中であること等の諸般の情状を考慮して刑法二五条一項を適用し、同被告人に対しこの裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 安原浩)

別紙(一)

修正損益計算書

三和開発株式会社

自 昭和46年9月1日

至 昭和47年8月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

三和開発株式会社

自 昭和47年9月1日

至 昭和48年8月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(三)

法人税額計算書

<省略>

法人税額計算書

<省略>

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